本論文は,富山県高岡市立平米小学校に所蔵される卒業記念画のうち,大正期及び昭和期に残された高等科児童によるものを対象として,作品の種類や画題の調査を行い,その結果を報告するものである。調査では高等科教育や図画教育の動向を踏まえ,同校高等科児童による図画491点を対象に,作品の傾向や教科書との関連について分析を行った。調査の結果,平米校高等科児童図画作品には,1)主として図画教科書及び図画参考書の模写や静物画,風景画等が含まれていたこと,2)風景写生画やクレヨン画の流行という自由画教育運動の影響がみられたこと,3)初等及び中等教育用図画教科書に掲載された図版と同じものの模写があったこと,4)教科書の模写であっても,児童自身によるアレンジを確認することができ,臨画しながらも創意工夫する姿勢がみられたこと,が明らかとなった。