「ホスピタルアート」や「ヘルスケアデザイン」といった分野が,これからの社会にとってますます重要性・必要性を増してくることは,多くの研究者が指摘するところである。事実,日本でもこの分野に関する学会が立ち上がり,研究会や実践報告,シンポジウムやホームページの開設などが行われ,また大学等の研究機関でも様々な取り組みがなされている。このホスピタルアートは,病院が不特定多数の人が出入りする公共空間という側面もあるため,パブリックアートとして捉えることもできる。病院における彫刻・立体造形作品も数多く存在しており,彫刻の特性である存在感,立体感,空間感,触覚感等も含めて,ホスピタルアートとしての活用の視点から大きな可能性を持つものと考える。そこで本論では,病院における彫刻・立体造形作品の可能性や課題について,著者自身の実践事例を基に,特にアンケートの自由記述に着目して述べる。