美術教育学研究
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環境に配慮した絵画教育
―油彩画とテンペラ画の授業実践から―
横江 昌人
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2021 年 53 巻 1 号 p. 305-312

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抄録

科学技術の発展により,絵画では新しい画材による表現が主流になりつつある。だが,その一方で現代社会では環境対策と安全管理を強く求められている。このような風潮は美術界にも波及し,産業に関係の深い工芸に限定されず,版画や絵画にも広がり,美術家の健康問題にまで関係する問題である。欧州では,これまで普通に使用できた画材が規制され,日本でも毒性や安全管理上の制限が検討されるようになった。また,世界中でマイクロプラスチックの海洋汚染が問題となり,合成樹脂であるアクリル絵具には,環境問題につながる危険性が懸念される。そこで絵画においても油彩画やテンペラ画など天然由来の材料による,より安全な絵画授業を検討するべきである。筆者のグリザイユ画やテンペラ画の授業での取り組みを報告し,安全で扱いやすく,利便性と共に教育効果の高い技法と,環境に配慮した後片付けの取り組みを明らかにする。

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© 2021 大学美術教育学会
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