小学校教員を志望する学生たちが受けてきた家庭科の授業にまつわる意識調査を行い,手縫いの技能が定着することをめざした授業実践を試みた。80%を超える学生が家庭科を好きな教科と答えた。しかし布を用いた製作に限定すると,好きと回答したのは60%弱となった。また,小学校学習指導要領家庭編に示されている手縫いのうち,本返し縫いと半返し縫いについては約70%の学生が名称または縫い方の理解ができておらず,かがり縫いに関しては名称と縫い方のどちらも理解していない学生もいることが判明した。
実技指導においては一斉指導での実物投影機によるICT 活用が奏功した。個別指導も含め,実践により手縫いの技能が向上したことが提出物と事後アンケートから確認できた。実技には学生自作の練習布を使用した。線上を縫い進めると任意の図柄が完成する練習布により意欲的に取り組むことができたが,児童向けの適切な教材とするには見直しが必要である。