2020 年 12 巻 p. 17-26
本研究では,教職課程の授業「教育相談」で実施したロールプレイの有効性を明らかにし,自己並びに友人関係の効力感にどのような影響を与えるかを検証した。研究Ⅰでは,ロールプレイによる気づきに関するカテゴリー分類を行った。研究Ⅱでは,研究Ⅰのカテゴリー分類をもとに全64 項目で構成し,大学生364名を対象にロールプレイの有効性尺度の作成を行った。その結果,5 因子(コミュニケーション力, うなずき効果, 受容効果, 伝達の難しさ, 自己発見)の計33 項目が抽出され,ロールプレイの有効性尺度が構成された。また,ロールプレイの有効性尺度と効力感に関する尺度による重回帰分析を行った結果,ロールプレイの有効性尺度の各下位尺度が効力感を高めることが示唆された。「教育相談」におけるロールプレイは,学生の基礎的知識や技法を培うだけでなく,効力感を高めることにも有効であることが明らかとなった。