2020 年 12 巻 p. 27-35
本研究では,大学生117 名 ( 男性: 31 名 ; 女性: 86 名) を対象に,過去のいじめの影響を長期的に捉えるために,過去のいじめが現在の友人関係と自尊感情に及ぼす影響について検討することを目的とした。いじめの否定的な影響の「情緒的不適応」は友人に対する価値観と友人との葛藤解決効力感に有意な負の影響を及ぼし,「情緒的不適応」や「他者評価への過敏」は自尊感情に負の影響を与えていた。いじめの肯定的な影響の「他者尊重」は価値観と葛藤解決効力感に有意な正の影響を及ぼし,「精神的強さ」は自尊感情に正の影響を与えていた。今後の課題として,ピア・サポートやストレスマネジメントを実践することでいじめ防止対策を推進していくことや,電子機器等の情報メディアの活用がいじめにどのような影響を与えるかについて調査する必要性を論じた。