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植生学会誌
Vol. 31 (2014) No. 2 p. 107-

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http://doi.org/10.15031/vegsci.31.107

原著論文

  1. 渡良瀬川上流域におけるネコノメソウ属の種の分布パターンを明らかにするため23 の支流でネコノメソウ属の種の分布を記録し,ハナネコノメ,コガネネコノメソウ,イワネコノメソウ,イワボタン,チシマネコノメソウ,ネコノメソウ,ツルネコノメソウの7 種の分布を確認した.

  2. チシマネコノメソウとネコノメソウの分布地点は少なく,それぞれ高標高域と低標高域に偏って分布し,そのほかの5 種は調査地域に広く分布した.

  3. 生育立地の特徴を表す指標(分布地点の標高,傾斜角度,分布地点から最近接の谷底地点(最近接谷底)よりも上流の集水域に含まれる各地質の面積割合,最近接谷底における渓床勾配,分布地点から最近接谷底までの距離,最近接谷底より上流域の河川長の総和を集水面積で除した谷密度)にはハナネコノメ,コガネネコノメソウ,イワネコノメソウ,イワボタン,ツルネコノメソウの5 種の間に大きな違いはなかった.

  4. Sørensen の共通係数を用いたネコノメソウ属の種の分布の重なりは,チシマネコノメソウとネコノメソウで小さく,それ以外の5 種では支流,2 次集水域の両スケールにおいて大きいことがわかった.

  5. 渡良瀬川上流域において,ある集水域でみられたネコノメソウ属5 種の分布の重なりは他の集水域でも確認することができ,渡良瀬川上流域において普遍性の高い現象であることが示唆された.既往研究から,これは2 次集水域の内側により小さいスケールで複数種が共存できる環境が存在するためと考えられ,ネコノメソウ属の複数種が共存できる最小単位の検討が今後の課題として考えられた.

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