Venus (Journal of the Malacological Society of Japan)
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原著
北海道知床半島の中新統ルシャ層産シレトコシロウリガイ(新称)の再記載
天野 和孝 鈴木 明彦
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2010 年 68 巻 3-4 号 p. 165-171

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抄録

北海道東部の知床半島の上部中新統ルシャ層から,記載が不十分であったArchivesica shiretokensis(Uozumi,1967)シレトコシロウリガイ(新称)の追加標本が採集された。本種はシロウリガイ属としては北海道ばかりでなくオホーツク海沿岸からの唯一の化石記録である。また,後期中新世は日本におけるシロウリガイ属が出現した時期に相当する。採集された標本の記載は以下のとおりである。
Archivesica shiretokensis(Uozumi,1967)シレトコシロウリガイ(新称)
殻は長楕円形で,大きく最大殻長152.6 mm,殻高67.6 mmに達する。腹縁は弱く凹む。殻頂は殻長の1/5前方に位置する。右殻の前主歯は小さく薄い。中主歯は板状で,前方に傾く。後主歯は薄く,後方に傾き,弱く二分される。殻頂下洞は小さく,浅い。套線はごく広く,浅い。
産地:北海道斜里町ルシャ川2.3 km上流
比較:殻の大きさや外形は現生種のシロウリガイArchivesica soyoae(Okutani,1957)に類似する。また,右殻の主歯はシロウリガイの幼貝に類似する。しかし,殻頂はより前方に位置し,右殻の中主歯が前方に傾斜し,後主歯の傾斜がゆるい点でシロウリガイの成貝と異なる。

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© 2016 日本貝類学会
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