貝類学雑誌
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タネガシママイマイ Satsuma tanegashimae (Pilsbry) の種内変異の研究 II : 生殖器形態の変異
冨山 清升
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1988 年 47 巻 2 号 p. 95-103

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抄録

タネガシママイマイの個体群間および, その近縁種間における生殖器形態の比較を行った。タネガシママイマイとその近縁種の生殖器形態には, 形質によっては, 個体群内においても変異が認められた。タネガシママイマイ近縁種の種同定のメルクマールとしての生殖器を用いる場合には, 種内変異のない形質を選定する重要性が示唆された。タネガシママイマイ各個体群の生殖器形質から, 個体群間のマハラノビス汎距離を算出し, その値をもとに, クラスター分析を用いて, タネガシママイマイ各個体群のグループ分けを行った。その結果, 本種は生殖器形態では3つのグループ(宇治群島グループ, トカラー三島-草垣グループ, 種子-屋久グループ)に分けられることが判った。宇治群島個体群は生殖器形態でも特異な集団であることが判った。草垣群島個体群は, 殻の大きさに比して, 著しく小さな生殖器であることが判った。また, 草垣群島個体群の生殖器形態は, トカラ列島各個体群のものに最も似ており, 草垣群島個体群がトカラ列島各個体群とかなり近い関係にあることが示唆された。

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© 1988 日本貝類学会
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