2023 年 28 巻 1 号 p. N1-N8
動物愛護管理行政には、多頭飼育崩壊や飼い主のいない猫等の問題が山積し、自治体のマンパワー不足も指摘されている。一方、動物愛護をボランティアとして行う団体等にも、自治体からの譲渡過多等の課題がある。そこで、自治体と動物ボランティアの関係性を明らかにするため、関東近郊の7自治体を対象に自治体とボランティアの連携に関するアンケート調査を行った。その結果、動物愛護に関する活動内容等については、動物愛護推進員と登録ボランティアの間で違いがあった。また3自治体では、ボランティアと連携を強化したいと考える一方、調整事務の増加が連携阻害の要因であった。 幅広い活動を行う動物愛護推進員制度を補完する形で、自治体の課題にピンポイントに対応できる登録ボランティア制度を活用することが望ましいと考えられた。また、愛玩動物看護師のような専門知識を持つ人材が、動物愛護管理の分野においても活躍することが期待される。