本稿の目的は、「介護」は社会経済的に考えて消費的経費ではなく、投資的経費であるという点について、考察を行うことである。投資的経費として考える場合、要介護者本人の生産的活動支援と、家族介護などによる生産性低下の防止という、二つの意味を説明する。
更に、介護が生産的意味を意味せず消費的介護となる場合は、高齢期の要介護者の生存の意味が、根底から問われることになる。高齢期の生存の意味が問われるということは、人間としての基本的価値への疑問と直結する。従って、介護の社会経済的意味を問うのは、重要な意味を持つ課題である。
なお、介護とは、障害などによって活動制限状態にある人の活動支援に関する行動を意味している。