2020 年 4 巻 1 号 p. 55-64
本稿は、現在の「保育学」言説の問題点を指摘し、それを超克する保育理論を提示しうる保育学の建設に資する語彙の創出に関する提案を行うものである。本稿では、「保育学」の学的基盤の弱さ、およびそれと関連する研究共同体としての紐帯の弱さに起因する養成校教員の学問的コミュニケーションの疎外という隘路を突破するために必要とされる語彙を、グラウンデッド・セオリー・アプローチにおける「中核概念」のアナロジーで捉えなおす。それにより、保育実践の方略をリードするような「中間的な語彙」の創出と構造化という課題に応じる保育学の礎石を据えようとするものである。