敬心・研究ジャーナル
Online ISSN : 2434-1223
Print ISSN : 2432-6240
コロナ禍が示唆する新しい生活と社会
―既存の枠組みからいかにして脱出するか―
薗田 碩哉
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2020 年 4 巻 2 号 p. 1-13

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抄録

 2020に世界中で荒れ狂ったコロナウィルスは、すべての国の社会生活と個人生活に深刻な影響を与えた。国と国の関係が断たれ、経済は縮小し、人々は自宅に閉じ込められ、生活の楽しみを失い、旅に出ることもできなくなった。

 それによって私たちは、これまで何の疑問も抱かなかった多くの事柄を見直す必要に迫られた。夫婦関係や親子関係はこれでよかったのか、近隣の生活環境は充実しているか。学校教育は今のままでよいのか。コロナ禍で仕事を失った人たちをどうやって救済するのか。高齢者への福祉サービスを豊かにするためには何が必要か。森林を伐採し、排気ガスをまき散らし、温暖化を放置しておいていいのか。

 これまで「働き過ぎ」中毒だった多くの日本の勤労者は、仕事と家庭とレジャーのバランスを取った新しいライフスタイルを求め始めている。ホームワークを充実させ、個人の時間を楽しむための読書やアートや音楽への関心を高め、オンラインを活用した新しい人間的コミュニケーションを開拓しようとしている。

 警戒しなければならないのは、コロナに対処するために中央政府の権力を強化しようという動きが世界中で広がっていることである。必要な社会統制は、市民の自主的な協力を土台に作りあげなくてはならない。政府を強くするのではなく、市民の連帯を強化することがコロナ後の世界が追及すべき目標である。

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© 2020 学校法人 敬心学園 職業教育研究開発センター
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