本研究では、英国北部リーズ市のスォスモア・エデュケーション・センター(Swarthmore Education Centre)を事例として、職場の生産性を支える技能形成方式を検証した。用いる手法は、エスノグラフィー、アンケート、聞き取り、1次、2次資料分析であり、2003年から2013年の間に収集したこれらのデータを分析した。小池・猪木(1987)の理論で検証した結果、政府拠出金により運営された「代替プログラム」は、組織が訓練費を投資し、従業員が特殊技能で対応したことによって、政府資金が多く投入されている教育分野であっても、英国の事例では民間とは異なる背景の中で、その生産性に正の影響を与えることが示された。また特殊訓練費を投資された労働者への出産休業対応などは、技能形成方式の文脈から経済効率性によって説明可能であり、Becker(1964)ではプレミアムの一部としてしか把握されなかった出産休業時における業務代替への動機を、仲間は訓練機会を得ると説明できることを示した。