本論は、専門学校における職業教育を青年期教育の視点から捉えなおし、教育学研究としての専門学校研究の新たな視点を提示するものである。戦後、日本型雇用の成立に伴って、偏差値主義的学力に基づく競争的な青年期が出現した。青年期教育研究においては、日本型雇用に当てはまらない生き方をする青年をノンエリート青年とし、分断的に把握してきた。本論では、教育福祉の概念を用い、全ての青年にとって、青年期教育の競争的性格の克服と職業教育の機会の保障が必要であると整理した。本論では、これら青年期教育の課題に対し青年期の大衆的な職業教育機関として専門学校が独自の意味を持っている点を確認し、専門学校教育の発展の要因を5つの点、すなわち「職種別労働市場に対応した職業教育」「戦後の専門学校制度の特殊性」「学校形態の教育機関であること」「日本の教育制度の二重構造型」「教員の教育の自由」から説明した。