2023 年 7 巻 2 号 p. 53-58
【背景】我が国ではニューカマーと呼ばれる長期滞日外国人の高齢化に伴い高齢者介護施設を利用する者も出てくることが考えられ、その中にはムスリムも含まれる。そこで、本研究では、長期滞日外国人ムスリム高齢者の施設入居に伴い生じる信仰実践の障壁と困難について明らかにすることを目的に実施した。【方法】長期滞日外国人ムスリムの信仰実践の困難に関する文献レビューを行った。【結果・考察】自身のライフイベントにおいて、対処方法の選択肢が限られる環境が長期滞日外国人ムスリムの信仰実践の障壁である。この障壁のために自身が望む信仰実践における課題解決の対処方法が取れず、良きムスリムとして人生を歩めないという困難を抱える。【結論】長期滞日外国人ムスリム高齢者が施設入居した場合、個人の生活スタイルや希望が制限されてしまう要素を持つ施設の特性から、長期滞日外国人ムスリム同様の障壁・困難を抱えることが考えられる。