敬心・研究ジャーナル
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  • ― 職業教育への偏見と誤解を解く観点 ―
    田中 萬年
    2023 年 7 巻 2 号 p. 1-12
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/23
    ジャーナル フリー

    わが国には独特の教育観による職業教育への忌避観がある。この基には無知と偏見による誤解があると考える。それは、「徒弟(制度)」への偏見であり、「教育」と「訓練」への誤解であり、そして実習の観念的解釈である。これらの偏見や誤解を解き、本稿では人間的発達を支援する「天職能力開発」の意義を提示する。そして、今後の課題として、これまでの方法とは全く異なった協働の方法の追求が求められることを提起する。

  • ― 多義性を親密度の視点から評価して ―
    濵田 雄仁, 宮本 恵美, 小手川 耕平, 大塚 裕一
    2023 年 7 巻 2 号 p. 13-19
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/23
    ジャーナル フリー

    失語症者における動詞の多義性(同一動詞内におけるそれぞれの意味)の理解力を、親密度の視点から評価した。対象は、理解力が軽度から中等度の失語症者22名とした。個々の動詞が持つ複数の意味を親密度で分類し , 親密度が高い意味順にレベル1(L1)、レベル2(L2)、レベル3(L3)の3段階に分類した。そして , レベル別に文を作成し、それぞれの理解度を評価した。その結果、L1の正答率は L2と L3と比べて有意に高かった。このことより、理解力が軽度から中等度の失語症者において、動詞の多義性の理解には、親密度が影響する事が推察された。

  • ― 日本福祉教育専門学校の留学生を対象とした配布票調査から ―
    齊藤 美由紀, 大野 俊
    2023 年 7 巻 2 号 p. 21-31
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/23
    ジャーナル フリー

    新型コロナウイルス(COVID-19)の地球規模の蔓延は、日本各地の介護福祉士養成施設に通う留学生の生活にも大きな影響を与えた。大半の留学生がアルバイトで働く高齢者介護施設では、クラスター感染が相次ぎ、緊迫した状況となった。留学生たちは介護施設での仕事上のストレス、オンライン授業に切り替わったための学習上の困難、母国に残した家族への懸念など、様々な困難な状況に直面した。こうしたコロナ下での彼らの日常生活や健康上の問題などを解明するため、筆者が教員として勤務する日本福祉教育専門学校で学ぶ留学生を対象に配布票調査を実施した。その結果、回答者の92.7%がアルバイトでかなり注意を集中する必要があると回答し、85.2%が自身の日常生活に影響を及ぼしていたことが明らかとなった。また、こころの健康状態については、不眠やストレスを抱え、自身の健康状態に自信をなくしていた留学生が59.8%いたことも明らかとなった。

  • ― 「学習権」とは何か、それは何を意味するのか。 ―
    川廷 宗之
    2023 年 7 巻 2 号 p. 33-41
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/23
    ジャーナル フリー

    現代日本の職業教育における「学習権」を考える上で、重要な基準となりえる資料として、ユネスコの成人教育会議での「学習権宣言」を取り上げる。その上で、この宣言をベースとして「学習権宣言」を理解するとともに、その内容をどう学習支援で実践に移していくかについて、学習権宣言の冒頭の6項目に関して、宣言の項目に即して論じた。学習権宣言は、この6項目の後にその意味や理由に関して触れている重要な文面が続いているが、この点は次の稿で論じることとする。

  • 吉田 直哉
    2023 年 7 巻 2 号 p. 43-52
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/23
    ジャーナル フリー

    本稿は、教育行政学者・持田栄一が1970年代に提示した「生涯教育」論に対する論駁を検討し、そこで彼の近代公教育批判という主題が反復されていることを明らかにする。生涯教育論に対する持田の批判は、近代公教育の前提にある「家庭教育中心主義」への批判を前提としている。そして、現代資本主義社会において脆弱化した家庭教育を、独占資本の主導下において、福祉国家が代替し再編・制度化しようとするところに、教育の全面化としての生涯教育が提起されていると断ずるものであった。

  • ― 長期滞日ムスリムの信仰実践の障壁と困難を基にした検討 ―
    松永 繁
    2023 年 7 巻 2 号 p. 53-58
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/23
    ジャーナル フリー

    【背景】我が国ではニューカマーと呼ばれる長期滞日外国人の高齢化に伴い高齢者介護施設を利用する者も出てくることが考えられ、その中にはムスリムも含まれる。そこで、本研究では、長期滞日外国人ムスリム高齢者の施設入居に伴い生じる信仰実践の障壁と困難について明らかにすることを目的に実施した。【方法】長期滞日外国人ムスリムの信仰実践の困難に関する文献レビューを行った。【結果・考察】自身のライフイベントにおいて、対処方法の選択肢が限られる環境が長期滞日外国人ムスリムの信仰実践の障壁である。この障壁のために自身が望む信仰実践における課題解決の対処方法が取れず、良きムスリムとして人生を歩めないという困難を抱える。【結論】長期滞日外国人ムスリム高齢者が施設入居した場合、個人の生活スタイルや希望が制限されてしまう要素を持つ施設の特性から、長期滞日外国人ムスリム同様の障壁・困難を抱えることが考えられる。

  • 小林 桂子, 清水 絵理
    2023 年 7 巻 2 号 p. 67-74
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/23
    ジャーナル フリー

    本研究では2016年度から介護福祉士国家試験の要件として義務付けられた「実務者研修」に着目し、実務者研修の課題を明確化するための第1歩として、ホームページ検索を用いて、教育主体・スクーリング日数・使用テキストの種類・カリキュラム提示の有無を中心に現状を調査したものである。
    結果、実務者研修は介護福祉士の実務経験ルートに義務付けされた研修であるため、一定の需要が認められることから、指定養成校の数は増加していた。ホームページ検索では、受講希望者にとって得たい情報と考えられるスクーリング日数が優先的に開示され、優先度が低いと考えられる使用テキスト「不明」77.6%、カリキュラム内容「不明」94.5%という実態があった。つまり、受講生集客が優先され、養成施設側がテキストの選択基準や何を学ぶのかというカリキュラムについて、重要視していない可能性が示唆された。よって実務者研修の研修効果をはかる調査が急務であると考える。

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