抄録
アルカンを資化して生育している酵母では,アルカンの酸化によって生ずる脂肪酸の分解はペルオキシゾームで行われているが,脂肪酸の分解が連続して行われるためには,β-酸化に伴って生成するNADHをNADに再酸化することが必須である.C. tropicalisにおけるこのNADH酸化系を検索したところ,アルカン生育時にNAD-依存のG3PDH(NAD-G3PDH)が強く誘導されるとともに,本酵素がペルオキシゾームにのみ局在していることが明らかとなった.動物細胞等においてはNAD-G3PDHはFAD-依存のG3PDH(FAD-G3PDH)とともにグリセロリン酸シャトルを形成し,細胞質とミトコンドリア間の還元力の移動に関与していることが知られているが,C. tropicalisにおけるFAD-G3PDHの細胞内局在性を調べたところ,本酵素はミトコンドリアに局在することがわかった.以上のような結果から,アルカンで生育しているC. tropicalisにおいては,グリセロリン酸シャトルによってペルオキシゾーム内で生成するNADHを再酸化するとともに,この還元力をミトコンドリアに輸送していることが強く示唆された.