抄録
Candida tropicalis をアルカンを炭素源として培養すると,ペルオキシゾームの発達と関連してCATの活性が増大した.CATは酵母菌体の中でペルオキシゾーム,ミトコンドリア及び細胞質に分布していた.このような細胞内分布は,CATがいわゆる"acetylcarnitine shuttle"に関与し,アルカンの分解によって生成するアセチル単位をペルオキシゾームからミトコンドリアや細胞質に輸送する役割を担っていることを強く示唆している.このように,CATは酵母のペルオキシゾームとミトコンドリアが協同してグリオキシル酸回路を機能させる際に重要な働らきを持つものと考えられる.又,CATは細胞質において脂肪酸のde novo合成に必要なアセチルCoAの生成にも関与しているのであろう.本研究に用いたカルニチンの一部を供与下さいました大塚製薬玉江裕憲氏に深謝致します.