抄録
ニコチン酸関連化合物がニコチンアミダーゼ活性に及ぼす影響につて、植物の培養細胞(Nicotiana tabacum XD-6)を用いて、細胞レベルで検討した。ニコチン酸関連化合物を1mMの濃度で培地中に添加して培養した細胞中の本酸素活性(比活性)は、ベンズアミドと2-アミノベンズアミドによって5倍以上に増大し、ピコリンアミドとイソニコチンアミドによって2倍以上に増大した。シンコロメロン酸、NiANH_2,4-アミノベンズアミド、NiA,トリゴネリンによっても、それがやや増大する傾向が見られた。しかし、3-アミノベンズアミド、3-シアノピリジン、安息香酸(0.1mM)によって、比活性は大きく低下した。これらの化合物が細胞の成長に及ぼす影響は、活性の変化に比べて少ないものの、全般的に阻害的であった。これらの化合物を添加しない培地で生育させた培養細胞から得た無細胞抽出液を用いて、種々のニコチン酸関連化合物を酸素反応液に添加して(終濃度:1mM)、本酸素活性に及ぼす影響について、検討した。その結果、ベンズアミド、3-アミノベンズアミド、2-アミノベンズアミド、3-シアノピリジンなどによってかなり強い阻害をうけた。ベンズアミドを投与した細胞のニコチンアミダーゼ活性は非常に高いが、透析によりそれは著しく低下し、種々検討した結果、ベンズアミドが本酸素の安定化剤にもなっていることが判明した。