抄録
2004年5月現在, わが国では, 健康増進法と食品衛生法のもとで, 保健機能食品制度が施行されている. この論文では, この制度の創設までの経緯と概要について解説する. しかし, 2003年4月, 厚生労働省は健康局長と医薬食品局長のもとに, 「健康食品」にかかわる制度のあり方検討会(座長:田中平三)を設置し, 現行制度の見直しを開始した. この検討会は2003年10月に論点整理を行い, 2004年6月に提言を行った. そこで, この検討会で討論され, 提言された内容のうちで, 重要なものを「制度の展望」という観点から記述する. この論文では「健康食品」という用語を採用している. 健康の維持増進に資する食品として販売, 利用されるもの全般を指す. 保健機能食品も含むものであり, 『いわゆる健康食品』とは, 「健康食品」から保健機能食品を除いたものである. 1. 「健康食品」の概要 ひとつの食品には, 1種類以上の栄養素が含まれている. ある特定の栄養素を豊富に含有している食品が先ず同定され, その後多くの栄養素製品が抽出, 発酵, 酵素法, 合成等により作られるようになった.