ビタミン
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ビオチン合成酵素の立体構造
近藤 寛樹
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2004 年 78 巻 12 号 p. 624-625

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抄録

ビオチン合成の最後の段階, デスチオビオチン(DTB)への硫黄の導入, の最大の謎は活性化されていないメチル基とメチレン基にどのような仕組みで硫黄が挿入されるかという点である. この反応がbioオペロン中のbioB遺伝子の産物BioB, つまりビオチン合成酵素(モノマー分子量3.8万の二量体のタンパク質)によって触媒されること, また反応にフラボドキシン, フラボドキシン還元酵素, NADPH, S-アデノシルメチオニン(AdoMet), システイン, ジチオスレイトールが必要とされることなどがわかっていた. ビオチン合成酵素はAdoMetから還元的に生成する5'-デオキシアデノシルラジカルを利用する一群の酵素のスーパーファミリーに属し, これらには保存されたcys-X-X-X-Cys-X-X-Cys(いわゆるシステインボックス, Xは任意のアミノ酸)の配列が存在して鉄硫黄クラスターの結合部位となっている. 最近AdoMetとDTBが結合した形の大腸菌ビオチン合成酵素の立体構造が3.4Aの分解能で解かれた.

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© 2004 日本ビタミン学会

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