ビタミン
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7.パーキンソン病の炎症過程:サイトカインの役割 : 第397回ビタミンB研究委員会
永津 俊治澤田 誠
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2004 年 78 巻 9 号 p. 457-458

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抄録
パーキンソン病(Parkinson's Disease, PD)は, 高齢者に多発する, 記憶障害のアルツハイマー病(Alzheimer's Disease, AD)に次いで多い, 運動障害を起こす神経変性疾患である. 脳の黒質線条体系(A9)ドーパミン(DA)神経が選択的細胞死を起こして線状体の神経終末で神経伝達物質DAが20%以下に減少すると, 筋固縮, 無動, 振戦などのパーキンソニズムと呼ばれる運動障害をおこす. 家族性(遺伝性)PDにPARK1〜PARK10が発見されているが, 大部分のPDは家族性の認められない弧発型PDである. 我々は, 弧発型PD患者の剖検脳, 黒質線条体部位や脳脊髄液で, さらにPDモデル動物のMPTP(1-Methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine)-induced-PDマウスや6-OHDA(6-Hydroxy-dopamine)-induced-PD)ラットの黒質線条体部位で, 炎症性サイトカインのTNF-alpha, IL-1beta, IL-6などが増加して, 反対に, 神経栄養因子のBDNF, NGFが減少することを報告してきた1). 炎症性サイトカインの増加は黒質線条体部位に特異的な炎症を示唆するが, 脳は血液脳関門で保護されているので, PDのような神経変性疾患では免疫反応は起こらないと考えられてきた.
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© 2004 日本ビタミン学会

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