抄録
現代は「コンクリートジャングル時代」であり、「うつむき人間」が増えている。人類は誕生以来、自然の中でフィチンチド・テルペノイド・新鮮な空気・多色彩などで癒しを得ていたが、コンクリートジャングル(人工自然)では、これらの要素が欠けており、ストレスが亢進している。ストレスは五感を通じて体内に入り、複雑な経路で酸化ストレスを亢進して、体内の酸化―抗酸化バランスを乱して、不調・未病などのストレス関連疾患を誘発する。最近、ビタミン類の不足・欠乏状態が問題になっており、例えば、ビタミンCについても、欠乏症である壊血病に至らない潜在性壊血病(疲労、短気、筋肉痛)などが報告されている。酸化ストレスを軽減するには低下した抗酸化物質、特に抗酸化ビタミンの補充が重要となる。本総説では「現代社会において現代人はどのように健康を維持するか」を考えるために、歯の健康と心の健康における抗酸化ビタミンの働きを中心にまとめる。