抄録
レチノイドとしても知られているビタミンAは脂溶性ビタミンの1つであり、視サイクルだけでなく、正常な細胞の発達や代謝にも必要である。ビタミンA(レチノール)の代謝物であるレチナールは視サイクルに必要であり、レチノイン酸は特定の遺伝子発現を制御する。いずれの場合も、ビタミンAの代謝は特定の酵素によって制御されており、それらの機能を発揮するには、特定の結合タンパク質が必要である。したがって、ビタミンAを介したこれらの生理学的作用の調節メカニズムを理解するためには、代謝産物の濃度だけでなく、ビタミン Aに関わる特異的酵素、運搬タンパク質、核内受容体の挙動についても理解をする必要があり、ビタミンAの生体内での複雑な反応を、これらタンパク質の変動から理解することが可能である。
この総合論文では、これらの結合タンパク質がビタミンAの作用をどのように制御しているかについて示すとともに、栄養状態がビタミンA代謝に関連するタンパク質の発現を変化させことでレチノールの代謝とその作用を変化させる可能性も示す。