抄録
2016年から2025年の期間は、「国連 栄養のための行動の10年」と宣言された。ビタミンは、途上国では欠乏症の予防、先進国では不足解消による疾患リスク軽減と、いずれにおいても重要な役割を果たす。
Universal health coverage (UHC) は、途上国・先進国のいずれにおいても、持続可能な開発目標(sustainable developmental goals,SDGs) の重要な要素である。UHCに関して日本は先進的な国であり、長寿と関連している。しかしUHCの維持・発展のためには、多額の費用が必要である。高価な薬剤による治療は、高リスク者に対しては正当化され得るが、低~中リスク者にはそうではなく、栄養改善や運動による一次予防がその対策となる。薬物療法と異なり、栄養改善は複数の疾患リスクを軽減できるという利点もある。すなわちビタミンは、途上国・先進国のいずれにおいても、低コストで重要な役割を果たし、UHCやSDGsの概念に合致するものである。
結論として、ビタミンは世界的に健康増進や疾患予防を行うことができ、臨床的・疫学的研究の遂行や、市民や行政に対する広報が必要である。