雑草研究
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原著論文
マルバツユクサの種子サイズと出芽時期・遮光が生育と種子生産に及ぼす影響
吉田 光司松尾 光弘寺尾 寛行小川 紹文
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2006 年 51 巻 3 号 p. 139-145

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抄録

ツユクサ科の一年生雑草であるマルバツユクサについて, 地上部および地下部にそれぞれ生産される大小両種子の大きさについて調査した。また, 3月から9月の異なる時期に出芽した場合, および遮光下で生育した場合におけるマルバツユクサの生育および種子生産についても調査した。
地上部および地下部に生産されたさく果は前後2心皮となって中央で裂けるが, 前方心皮中の2~4粒の種子とそれよりも大型となる後方心皮中の1粒の種子の大きさについて比較したところ, 地下部の大種子が長径, 短径および厚さのいずれも大きく, 次いで地上部の大種子, 地下部の小種子となり, 地上部の小種子のそれらは最も小さかった。
3月から9月にかけて出芽したマルバツユクサの中で, 6月に出芽した個体において草丈および一次分枝数がいずれも最も大きく推移し, 9月に出芽した個体のそれらは, いずれも最も小さかった。出芽から開花までの日数は, 5月出芽の個体で21日と最も短く, 9月出芽の個体で42日と最も長かった。また, 種子の落下期間は5月出芽の個体で80日と最も長くなり, 9月出芽の個体では種子を生産しなかった。地上部および地下部における花序数および大小種子粒数は, 4月に出芽した個体の場合に共に最も多くなったが, それ以降に出芽した個体のそれらは減少した。
82%, 50%および14%の相対照度下で生育したマルバツユクサの草丈は, 100%の相対照度下の場合よりも高く推移したが, 個体当たりの一次分枝数に有意差は見られなかった。地上部における花序数および大小種子粒数は, 82%の相対照度下で生育した個体において最も多くなったが, 相対照度の低下とともにそれらは減少した。一方, 地下部に生産された花序数および大小種子粒数は, 各相対照度間で有意差を示さなかった。

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© 2006 日本雑草学会
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