抄録
近年,静岡県中遠地域の水田転換コムギ圃場で問題となっているネズミムギの防除法の確立を目的とし,ダイズ作とコムギ作における耕起,不耕起の管理体系の違いがネズミムギの出芽に及ぼす影響について調査を行った。
ダイズ作の不耕起栽培によって,慣行の耕起栽培に比してコムギ播種前のネズミムギの出芽数が増加したが,コムギ作におけるネズミムギの出芽数の減少は認められなかった。コムギ作におけるネズミムギの出芽数は,ダイズの耕起栽培とコムギの不耕起栽培の組み合わせで最も少なかった。コムギ不耕起条件では,コムギ播種後の土壌硬度が固く,ネズミムギ出芽深度は土壌浅層に偏った。重粘土壌におけるダイズ作耕起栽培とコムギ不耕起栽培の組み合わせは,夏期に土壌表層のネズミムギ種子を出芽可能深度以下の土中深層に埋没させ,その後の不耕起により埋没した種子の出芽を抑制できると考えられる。