雑草研究
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シロザ種子の発芽抑制物質に関する研究
渡辺 泰
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1970 年 1970 巻 10 号 p. 24-28

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抄録

(1) シロザの種子は, チシャの種子や硫酸処理して休眠を打破したシロザ種子の発芽を抑制する物質を有することを認めた。この物質は休眠を示さない未熟種子にも存在した。未熟種子や採種後経過年数の長い種子ほど吸水後種子外に浸出しやすいようであった。
(2) この物質は水抽出後pH2で醋酸エチルで振盪抽出される。イソプロパノール, アンモニア, 水 (10: 1: 1) を溶媒としてペーパークロマトグラフィーで展開すると, Rf 0.8~1.0に活性部位が分離した。螢光反応はなく, 作用は比較的弱いものであり, gibberellin によって抑制は回復した。
(3) 光を2,000lux, 温度を25℃として2日間酸素のなかで種子に吸水させた結果, 種子の抑制物質の濃度は減少しなかった。また, 種子を2℃で2ヵ月間処理すると発芽率が5%から44%に増大し, 一方, 抑制物質も著しく減少した。
以上, シロザの種子は発芽抑制物質を有するが, 休眠に果している役割について結論をくだすにはさらに検討が必要である。

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