雑草研究
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水稲の雑草害に関する研究
水稲の生育時期とヒエによる雑草害
野田 健児小沢 啓男芝山 秀次郎
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1971 年 1971 巻 12 号 p. 28-32

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抄録

水稲へのタイヌビエによる競争害の生育時期的反応を中心とした実験を1966, '67, '68年にわたって行なった。その結果の要旨は次のとおりである。
1) 3か年の実験結果を総括すると, タイヌビエによる競争害の大きく現われる時期は2時期みられる。第1の時期は最高分けつ期を中心とする時期, 他は出穂後から登熟前半の時期である。
2) 第1の時期は穂数減となって, 減収をまねく。その程度は基肥重点的な肥料条件の場合に, より大きく現われる。
3) 第2の時期は一籾重低下, 完全粒数の減少, 屑粒数の増加となり, 減収をまねく。この時期の競争害は後期肥効的な条件に加えて, 気象条件の良好なほど被害が大きく現われる。
4) 第1と第2の中間-有効茎の決定から幼穂の分化, 発達の時期-に競争害のすくない inert な時期がみられる。
5) ヒエとの競争により水稲の生産構造は著しく変化する。とくに同化葉身部の割合の減少が著しい。
6) 競争区の水稲の根系は, 作土層への分布がヒエとの競争により著しく制限される傾向がみられた。

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