雑草研究
Online ISSN : 1882-4757
Print ISSN : 0372-798X
ISSN-L : 0372-798X
稲麦二毛作田における耕起・不耕起・切りわら散布および施肥量の組合わせが雑草量に及ぼす影響
江口 久夫平野 寿助
著者情報
ジャーナル フリー

1971 年 1971 巻 12 号 p. 36-39

詳細
抄録

稲麦二毛作田における秋・春の耕起処理・切りわら散布および施肥量の組合わせが夏・冬作雑草の残草量に及ぼす影響について, 1964年から1967年まで, 麦4作・稲3作を同一ほ場・同一処理条件で継続作付けした後に調査した。
得られた結果の概要は次のとおりである。
(1) 耕起処理の影響はスズメノテッポウとアゼムシロにおいて認められたが, その他の草種では認められなかった。
(2) スズメノテッポウは秋・春とも耕起した区において多く, 不耕起区で少なかった。これは不耕起条件下では, 麦播種時における出芽可能深度内のスズメノテッポウ種子の生存率が低いうえに出芽が抑制されたこと, 使用除草剤 (CAT) の効果が高かったことなどによるものと考えられた。
(3) アゼムシロは, 小麦作では秋に不耕起であった区において多く, 水稲作では秋・春ともに不耕起であった区においてとくに多かった。これは, アゼムシロは使用した除草剤では防除効果が不十分であり, 耕起による機械除草の防除効果が高かったためと思われた。
(4) 冬期の切りわら散布の効果は, 冬作のサナエタデにおいて認められ, 切りわら散布により発生量が減少した。これはタデの発生時期と切りわらの散布時期との関係によるものと考えられた。
(5) 施肥量の影響は夏作のアゼムシロにおいて認められ, 標肥区に比べ1/2肥区の方がアゼムシロが多かった。これは, 春期に1/2肥区の小麦の生育が少なかったため, 光の条件がよく, アゼムシロの初・中期生育が旺盛になったものと思われた。
(6) 以上, 除草剤を使用する稲麦二毛作において, スズメノテッポウを少なくするためには不耕起栽培を組み入れるのがよく, アゼムシロを抑制するためには小麦作で耕起を行なうのがよいと考察した。

著者関連情報
© 日本雑草学会
前の記事 次の記事
feedback
Top