抄録
全国から採種された Echinochloa oryzicola Vasing. (タイヌビエ) をもとに, その25系統間の生育, 2, 3の形態的形質, 種子休眠性および除草剤感受性における差異を検討した。第一本葉長, 葉鞘の毛およびアントシアンの有無に差異があった。また, 京都で6月上旬に播種したところ, 供試系統の出穂開始日は7月上旬から9月中旬にわたり, 一般的に高緯度由来の系統は低緯度のものより早く出穂した。種子の第一小花外頴の形状, 芒の有無によってC-, F-formの存在が認められたが, いくつかの系統の種子群の中にはC-およびF-formが混在していた。種子休眠性の程度に顕著な系統間差が存在し, 休眠の浅い種子は100粒重が大きく, また播種から出穂までの日数が小である傾向があった。NIP, benthiocarb およびDCPAに対する感受性をバイオアッセイによって系統間で検討したところ, 特に大きい差異が第一本葉の壊死長で感受性を調べたDCPAに対して認められた。