雑草研究
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オモダカの窒素反応におけるクローン間差異について
山河 重弥井手 欽也小林 央往植木 邦和
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1986 年 31 巻 1 号 p. 41-50

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抄録
窒素施用量で0, 8, 16および32kg/10aの4区を設け, 京都府南部の6地域の水田から採取した19クローンの窒素反応におけるクローン間差異について検討した。各クローンの1窒素施用区あたり5ラミートを860mlの白色ポリビニールカップに1ラミートずつ栽培し, オモダカの生育や繁殖体の生産量を調査した。
植物体の生育における最適窒素レベルや窒素反応はクローンによって異なっていた。痩果および塊茎の生産量は全クローンを通じて生育量の増加に伴い増加したが, この増加の程度はクローン間で異なっていた。草丈, 痩果および塊茎生産の窒素反応は相互に異なり, 生育旺盛時の痩果生産の増加量は塊茎生産の増加量より多かった。
最大塊茎重量と塊茎形成数との関係もクローンによって大きく異なり, またこの両者の関係における窒素反応も異なっていた。7クローンは塊茎形成数のみを増加させ, 他の12クローンは形成数と最大塊茎重量の両方を増加させた。塊茎形成数の増加の程度は重量の増加程度よりも一般に高かった。2クローンの最大塊茎重量は変化したが, 1ラミートに形成された塊茎の重量頻度分布は, 極端に生育が劣った場合を除き, 窒素の差異による影響をあまり受けなかった。
草丈, 痩果, 塊茎生産量および塊茎の重量と形成数との関係における窒素反応に基づいて, 19クローンを4つのタイプに分けた。6クローンは4形質でそれぞれ最高の値を示す窒素施用区が異なっており, 他の13クローンの内3クローンは4形質共に低い窒素施用区で, また2クローンは高い窒素施用区で, 8クローンは8および16kg/10a区でそれぞれ最高値を示した。同一地域由来のクローン間において, このパターンに差異が有ることが6地域中3地域で認められた。
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© 日本雑草学会
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