雑草研究
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水田多年生雑草オモダカ繁殖体の生存状態と出芽に関する生態学的研究
第1報 水田における塊茎の生存状態の推移
伊藤 一幸宮原 益次
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1987 年 32 巻 2 号 p. 136-143

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抄録
オモダカの効率的な防除法を確立するための基礎的知見を得るために, 繁殖体の土壌中における生存状態と出芽に関する研究を開始し, その第1歩として, 水田における塊茎の生存状態の推移を調査するとともに, 塊茎の切断および乾燥が生存状態におよぼす影響を検討した。得られた結果の要点は次のとおりである。
1) オモダカの塊茎は耕土中のみでなく心土中にも形成され, 耕土中では小型の塊茎が多く, 心土中では大きな塊茎が含まれていた。
2) 25Cまたは30℃, 24時間5,000lx, 水没条件における萌芽調査により, 塊茎の休眠覚醒は大型塊茎で遅い傾向がみられたが, 水稲移植期以後は大部分の塊茎が休眠覚醒状態にあるものと推定した。
3) 生存塊茎数は主として耕起による損傷および代かき以後の湛水条件での萌芽, 出芽によって減少した。中干期には越冬塊茎の1割程度の完全塊茎 (萌芽・未出芽塊茎を含む) がみられたが水稲収穫期以後にはほとんどなくなった。
4) 塊茎の頂芽部が細長く, 塊茎球部との間で折れやすいという形態的特徴および側芽の形成が悪いという特性が耕起による損傷ならびに死滅塊茎数を増加させているものと推定した。
5) 各所で二分された塊茎はその生長点を含む側でのみ萌芽がみられ, 切断されなかったものと比較して萌芽が早まる傾向が認められた。
6) 塊茎の乾燥に対する抵抗性からみて, 耕起によって土壌表層に塊茎を分布させてもその死滅効果は低いものと推察された。
7) これらの結果から, 水田における塊茎の寿命がほぼ1年以内であるが由に, 適切な防除によって塊茎の再生産を完全に防止した翌年には, 塊茎からの発生を考慮する必要がないものと推定された。
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© 日本雑草学会
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