抄録
水稲の普通期および早期栽培で水稲畦間と裸地水田にオモダカ塊茎を時期を変えて埋込み生育量および繁殖体形成量を調査した。
1) オモダカの葉身は両作期とも水稲群落内で広く, 薄くなり遮光に対する形態的適応がみられた。
2) 水稲畦間のオモダカの生育は両作期とも埋込み時期が遅れるほど抑制された。この生育抑制は葉齢の進度よりも地上部乾物重に大きく現れた。
3) 水稲収穫期に刈取られたオモダカは普通期栽培では再生が全くみられなかったが, 早期栽培ではすべての埋込み時期の株基部からの再生がみられた。
4) 塊茎形成量は地上部乾物重の大きいものほど多かった。オモダカ単植個体の塊茎形成量は8月下旬以降の出芽個体から急激に減少した。普通期の水稲畦間の個体は0~40個, 早期の水稲畦間では3~15個の塊茎をそれぞれ形成した。
5) 普通期において7月上旬までに出芽した単植個体, 根域を制限した水稲群落内の7月下旬までに出芽した個体では, 埋込み時の塊茎の大小がその後の生育量の多少を決める要因にはならなかったが, 水稲群落内個体および上記以降に遅れて出芽した個体の生育は埋込み塊茎の大きさに依存した。
6) オモダカの生育および繁殖体生産量は, 普通期の水稲畦間で水稲の根域を制限した場合, 同一埋込み時期間で比較すると, 根域を制限しなかった個体より多くなった。とくに7月上~下旬の出芽個体の差異が大きかった。
7) 普通期における種子生産は単植個体では8月上旬まで, 水稲畦間の個体では移植1週間後までにそれぞれ出芽したものでみられた。
8) 9月中旬に出芽した単植個体は1~2個の塊茎を形成したが, これらは埋込んだ塊茎より小さく, 未熟であった。
9) したがって, 関東平坦部における水稲普通期田では移植20日後まで, 早期田では移植30日後までに出芽したオモダカを完全に防除し, 秋耕を早目に実施すれば, 長期的にみて発生量を減少させることができるものと推定した。