ハルジオンの切断葉における14C-パラコートの吸収, 移行, 分布について検討し, 次のようなことが明らかになった。
1. 14C-パラコートの経時的吸収量は, 葉面処理では処理後6時間, 葉柄処理では, 処理後24時間までR, S間に殆ど吸収差異は認められなかった。それ以後, いずれの場合もRの方が吸収量は増大した。なお, 葉柄処理と葉面処理では, 明らかに後者においてパラコートの吸収量が多かった。
2. 葉面処理におけるパラコートの吸収, 移行は, R, S間では14C-パラコートの吸収, 移行および拡散のパターンが特異的に異なることが認められた。このパターンからパラコートはRでは葉肉組織の細胞間隙に大部分が留まり, Sでは大部分が葉肉組織に移行するものと考えられた。
3. リーフディスク処理では, R, S間で14C-パラコートの吸収, 移行の状態に変化が認められなかった。
4. 14C-パラコートの切断葉における組織別分布は, R, S間で吸収率に差が認められなかった。
以上のことから, ハルジオンのパラコート抵抗性の発現は, 葉身におけるパラコートの吸収量やその分布の違いが抵抗性の原因ではないものと推察された。