雑草研究
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ジフェニルエーテル系除草剤 oxyfluorfen および bifenox のアオウキクサに対する作用の特徴
松本 宏小島 修一石塚 皓造
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1990 年 35 巻 1 号 p. 36-43

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抄録

ジフェニルエーテル系除草剤は植物の内膜系の過酸化をひきおこすことが知られているが, その作用機構は完全には明らかにされていない。これらの作用機構を明らかにする端緒として, 本研究ではアオウキクサを用いて剤の作用発現の特徴を検討した。作用の指標としてアオウキクサから外液への電解質の漏出と過酸化脂質の分解物の定量を行った。まずいくつかのジフェニルエーテル系剤の影響を比較したところ, oxyfluorfen と bifenox の作用が強かった (Fig. 1)。また薬剤の処理後4時間を経てから, 膜機能の変化によると思われる電解質の漏出が測定された (Fig. 1)。作用の発現には4時間をこえる光照射が必要であり (Fig. 2), 照射強度の強いほど作用は短時間で現れた (Fig. 3)。窒素ガス下では作用は消失した (Fig. 4)。マロンジアルデセド量として求めた過酸化脂質の分解物含量も薬剤処理によって増加した (Fig. 5)。しかしこれらの作用は抗酸化剤, 活性酸素消去剤, および光合成電子伝達阻害剤の添加によって一部防御された (Fig. 6, 7, 8)。これらの結果から, これらのジフェニルエーテル系除草剤による過酸化には, 活性酸素および光合成電子伝達系の関与が示唆された。

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© 日本雑草学会
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