雑草研究
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イリドイド配糖体類の植物生長抑制作用
駒井 功一郎中杉 徹辻井 郁雄三浦 睦浜田 昌之
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1990 年 35 巻 1 号 p. 44-52

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抄録

イリドイド配糖体類の植物生理活性の作用機構ならびに構造-活性相関について検討した。
1) 供試配糖体のうち asperuloside, geniposidic acid, geniposide および aucubin は植物体より単離し, また genipin と deacetyl asperulosidic acid methyl ester は単離した配糖体より誘導した (Fig. 1)。
2) イリドイド配糖体による生長阻害は, 茎葉部に比べて根部で著しく強く, またその阻害はレタスに比べてイネで著しかった (Fig. 2, 3)。
3) 前報6)と合わせて考察すると, 供試イリドイド配糖体のうちでラクトン環が消失し, 6位炭素に水酸基, 4位炭素にカルボキシル基を配する成分は, ラクトン環を有する asperuloside に比較してその活性は低下した。 しかし6位炭素の水酸基が消失する場合は, かなり強い活性を維持した (Fig. 2, 3)。
4) Deacetyl asperulosidic acid methyl ester や gardenoside など4位炭素にカルボン酸メチルを配し, 6位又は8位炭素に水酸基を有する配糖体の根部伸長阻害は著しく低下した (Fig. 2, 3)。
5) 10-5~10-6mol濃度の配糖体を処理した幼根長の伸長は促進され, その傾向はレタスに比較してイネで顕著で, deacetyl asperulosidic methyl ester では180%以上もの促進を示した (Fig. 2, 3)。
6) Geniposide をβ-glucosidase で非糖体とした genipin は, 配糖体に比べてその生長阻害程度は強く, またレタス種子発芽にも阻害を示した (Fig. 2~4)。
7) ヤエムグラ幼苗に対する3種配糖体と genipin の生長阻害は1.2×10-3molでも認められたが, asperuloside の活性は著しく低かった (Table 1)。
8) 生長阻害活性を示さない deacetyl asperulosidic acid methyl ester はβ-glucosidase に対して加水分解を受けず, glucose を遊離しなかった。従ってイリドイド配糖体類の生長阻害作用は, 生体内でのβ-glucosidase による非糖体化の結果発現するものと推察した。

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