イネ, エノコログサ, イヌビエ (無芒型), メヒシバ, オヒシバおよびセイバンモロコシを根箱および円筒カラムで育成し, これらイネ科植物の根系形態を総根長 (L), 根の投影面積 (A), フラクタル次元 (F), 根の平均直径 (D) から比較した。6種類のイネ科植物は根系形態から, 3つのグループに大別された。即ち, (1) L, A, Fは生育初期において大きな値を示すが, 葉令の進展とともに緩やかに増加するイネ, (2) L, A, Fが生育初期で小さな値を示すが, 葉令の進展とともに急激に増加するメヒシバ, イヌビエ無芒型, オヒシバ, エノコログサ, (3) LとAは生育初期で小さな値を示し, 葉令の進展に伴い急激に増加するが, Fは緩やかに増加するセイバンモロコシである。また, メヒシバとセイバンモロコシの根の平均直径は生育初期において大きく変化しないことも判明した。さらに, イヌビエの無芒型と有芒型およびヒエの成長を畑および湛水条件下で比較したところ, 無芒型の茎葉新鮮重と総根長は有芒型よりも土壌水分の影響を受けにくいことが明らかになった。このようなイヌビエの無芒型と有芒型の茎葉と根系の水分反応性の違いが, 幅広い水分環境に生育するイヌビエの生態的特性に, 深く関っているものと考えられる。