雑草研究
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自然界にみられるフェノール化合物の生育抑制作用の評価
小林 由佳伊藤 操子
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1998 年 43 巻 4 号 p. 341-348

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抄録

アレロケミカルとして過去に報告されたことのある21種類のフェノール化合物の阻害活性を水溶液試験と土壌混和試験によって相対的に評価した。水溶液試験では, juglone, coumarin, t-cinnamic acid, o-hydroxyphenylacetic acid および 3-phenylproponic acidは1.0mMにおいてレタスと栽培ヒエの幼根の伸長を顕著に阻害し, salicylic acid,β-resorcylic acid および benzoic acid の阻害活性がそれに準じた。0.1mMでは juglone を除く全ての化合物の阻害活性が減少した。また, レタスは栽培ヒエより強く阻害された (Fig. 1)。次に水溶液の阻害活性が最も高かった8種類のフェノール化合物を土壌に混和して, レタス幼根の伸長に対する影響を調査した。juglone は最も高い阻害活性を示し, coumarin がそれに準じた (Fig. 2)。また, 14種の供試植物に対して土壌に混和した juglone と coumarin が与える影響を調査した。juglone は2.0μmol/g土壌において全ての供試植物の幼根伸長を強く阻害したが, 同じ濃度における coumarin の阻害活性は供試植物間で異なった。また, 0.2および0.4μmol/g土壌においては両化合物の阻害活性が供試植物間で異なった (Fig. 3)。この場合, 供試植物の感受性は供試植物の科とは関係なかったが, 種子の大きさとは関係があるようであった。両化合物の阻害活性は大きな種子の供試植物では小さいが, 小さな種子の供試植物については種によってその感受性が大きく異なった (Fig. 4)。

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