雑草研究
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多摩川中流域の河川敷植生構成種の他感作用
浦口 晋平渡邉 泉久野 勝治星野 義延藤井 義晴
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2003 年 48 巻 3 号 p. 117-129

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抄録

外来種の侵入, 河原固有の在来種の衰退が顕著な多摩川中流域の河川敷から, 56種の葉部を採取し, サンドイッチ法により他感作用活性を検定した。ハリエンジュ, アレチウリ, オオブタクサのように大きな群落を形成する外来種や, クズ, ススキ, イヌコリヤナギなど安定的な植生を形成する在来植物がレタスの幼根伸長を強く阻害した。また, 絶滅が危惧されるカワラノギクとその周辺に多く生育する植物10種を砂耕栽培し, サンドイッチ法, プラントボックス法により他感作用活性を検定した。オニウシノケグサなどカワラノギク周辺の外来種は葉部, 根部ともにレタスの幼根伸長を著しく阻害し, 強い他感作用活性が示唆された。これらの結果は, 多くの外来種の侵入と優占に他感作用が関与している可能性を示唆した。また, カワラノギクの葉部, 根部にも強い他感作用活性が示唆され, 成立から10年ほどで衰退・消失するというカワラノギク個体群の特性の原因として, 他感作用の自家中毒的作用の関与が示唆された。カワラヨモギなど, 他の河原固有種は強い活性を示さなかった。また, 河川敷植生構成種の他感作用は, 生育段階および, 環境条件により変動する可能性が推察された。

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