湿地研究
Online ISSN : 2434-1762
Print ISSN : 2185-4238
宮島沼飛来マガン排泄物からの栄養塩類の溶出
平澤 孝介山田 浩之 木塚 俊和中村 雅子牛山 克巳
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キーワード: 糞尿, 籾殻, 水質, 採食物, 溶出率
ジャーナル オープンアクセス

2016 年 6 巻 p. 25-32

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抄録

宮島沼に飛来したマガンを対象に,排泄物からの溶出物質と溶出時間を明らかにすることを目的とした.その排泄物のサンプリングの際に青葉や籾殻といった採食物によって排泄物のタイプが異なったことから,2 つのタイプに分類した.その結果,マグネシウムイオンを除く多くの水質項目は,1 ~15 日間で溶出が最大値に達することが分かった.排泄物乾重量に対する溶出割合は,全溶存態窒素,アンモニア態窒素,溶存態有機炭素,カリウムイオンが他の水質項目よりも高い溶出割合を示した.2つの排泄物タイプの溶出割合を比べた結果,青葉に比べ籾殻を採食したと考えられる排泄物のほうが リン酸態リンと硝酸態窒素の溶出割合が高く,塩化物イオンが少ないことが明らかとなった.このことから採食物自体の違いが物質の溶出割合に影響を及ぼすと考えられた.

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© 2016 日本湿地学会
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