抄録
鑑賞者が空間に配置されたキーボードを操作することで、2つの投影画面に言葉が提示される。この言葉はコンピュータが人間に与えることができる、情報やメディアの可能性を示したものである。つまり、鑑賞者のキーボード操作によって、人間がコンピュータに与えるものだけではなく、コンピュータが人間に与えるものが示唆できる。主となる画面には、身体の形が映し出され、それらの言葉はその身体の中に表示される。そして、もう一方の画面にはその言葉の説明が映し出される。投影された身体とともに鑑賞者がその言葉を読み、理解しようとすることで、鑑賞者の身体においてもこの言葉が提示されることとなる。それにより、作品が媒介となり、メディアや情報のさまざまな側面が、人間の身体において連結することとなる。