抄録
デジタルアーカイブにおいて貴重な美術作品を記録し、またそれらを多様な照明環境下で鑑賞をするためには、その作品の分光反射率を正確に記録する必要がある。一般に復元される分光反射率の精度は復元モデルと入力系の分光感度分布に依存する。Wienerモデルは高精度な分光反射率復元が可能であるが、撮影する入力系のノイズ分散を求めるために絵画の分光反射率を予め複数箇所計測しなければならない。この問題を解決する一つの試みとして、筆者らは分光反射率が既知の色票を用いて入力系のノイズ分散を推定し、その値を絵画の分光反射率復元に使用する方法を提案している。本稿では筆者らの提案する方法によるカラー画像再現を更に多くのサンプルで行った結果を報告する。