抄録
物体の変形や断裂のシミュレーションはCG の分野において広く研究がなされている。これらの研究の主な目的の一つとして、なるべく低い計算コストで安定にシミュレーションを実現することが挙げられる。提案法では物体を格子で近似、それらの格子を階層的に管理し、物体の変形形状や断裂の状態に応じて異なる階層の格子を用いることで、シミュレーションを高速化する。そして、各格子に対して幾何学的に導出される仮想的な力を適用することで、物体の変形と断裂の計算を数値的に安定に行う。また従来法では階層ごとに物体の堅さが変わってしまっていたが、提案法では階層に依存しない堅さのパラメタを導入することで、物体の堅さが一様になるよう修正を加える。これによって、従来法よりも視覚的により尤もらしいアニメーションを可能にする。