抄録
本論文では,LSM のパラメータの共通化を検討しGAを用いて最適化する手法を提案する.現在は,可変形状モデルであるLSM(Level Set Method) のパラメータ設定に進化的学習のGA(Genetic Algorithm) を用いた脳領域抽出を行っているが, GAで対象画像毎のGround Truthを用いてLSM の外部パラメータの最適化を行っているのでGround Truthのない未知の画像に対して適用することが困難である.そこで,パラメータの共通化という考え方を追加し,Ground Truthのない未知の画像に対しても提案手法の適用を試みる.脳ドック受診者の30 代から70 代の52症例の頭部MR画像を読影専門医が大津法による2 値化処理実行後の頭蓋内領域の硬膜領域の残り具合に応じて各グループに分類した.評価実験では,提案手法を適用することによってLSM パラメータ の共通化を図った結果,全体の平均抽出率が84.7%となった.しかし,抽出率が低かった症例に関して対象画像に大きく依存するとされている輪郭の更新回数Iは最適化後に調整が必要であると判明した.