抄録
複合現実ではビデオシースルー方式のヘッドマウントティスプレイが広く使われているが,それらは大型で高価であり,パーソナルコンピュータが別途必要なので屋外での使用に適さない.そこで本研究ではスマートフォンを用いて小型かつ安価で,屋外でも使用できるシステムを開発した.スマートフォンのカメラに 3D プリズムを取り付け,左目・右目用映像を同時に入力した.それらの画像をゲームエンジン Unity 内で平面上に表示し,その手前にコンピュータグラフィックスで制作された左目用・右目用キャラクタを配置し,両方を同期してアニメーションさせた.そのシーンを Unity 内のカメラで撮影し,スマートフォンの画面に表示した.VR ゴーグルにセットして観察したところ,両眼視差のある実写映像の手前に両眼視差のあるキャラクタが存在するかのような複合現実が観察された.