抄録
一般に,自然物画像は様々な方向のエッジを多く含み,人工物画像は特定の方向のエッジを多く含む.この特徴に着目して,エッジ方向のヒストグラムを算出し,そのスペクトルを特徴とした画像識別法が提案されている.しかし,円形の人工物では,大局的にはあらゆる方向のエッジを含むために,自然物画像と誤識別する傾向にあった.本論文では,円形の人工物にも対応できる新たな特徴量を提案する.円形の人工物は,局所的に見ると注目画素と近傍画素でのエッジ方向に関連性が見られることから,エッジ方向の共起ヒストグラムを算出し,そのスペクトルを特徴とする.また,非線形 SVM を用いた識別器を採用する.各クラス 600 枚ずつ,計 1,200 枚の画像を収集して実験を行った.各クラス 500 枚の画像で識別器を学習して,残り 100 枚ずつの画像で識別性能を評価する実験を行った結果,共起性に基づく方法は良好な識別性能を示した.