アライグマは特定外来生物に指定されており,生態系、農作物、建造物などに被害を及ぼしており,建造物では特に寺社など木造の文化財の被害が深刻である.我々は獣害対策のための監視カメラシステムの実現に向けて深層学習によるアライグマの識別を試行している.これまで、独自に撮影した動物画像を用いて訓練および評価を行っていた.本稿では実際にアライグマが寺社に侵入する様子を撮影した監視カメラ画像を用いて評価を行う.さらに汎用の訓練画像セット(CIFAR-100)中のアライグマ画像セット,独自撮影のアライグマ画像セット,およびその両方を含む画像セットを用いてそれぞれ学習を行い,得られた識別器を実際の監視カメラ画像を用いて評価することで,訓練用画像データベースの構築方法と認識精度への影響を議論する.識別器の認識率は,CIFAR-100 を用いた場合 19.8%,独自撮影画像を用いた場合 27.8%であったが,両方を使用した場合は 59.9%に向上 した.