抄録
本研究では,時系列データを扱う機械学習手法である隠れマルコフモデル(HMM)によって視線動作を
モデリングすることで,絵画鑑賞時における視線動作と絵画に対する印象評価との間に何らかの関係があるか探る
ことを目的とした.刺激とする絵画に浮世絵,葛飾北斎「富嶽三十六景」を使用し,その中から新奇性の高い絵図
を選定した.絵画印象評定時の視線動作を計測し,その計測データを時系列データとみなして HMM による分析を
行った.この結果,ポジティブな印象評価をする視線動作は,様々な領域を時間をかけて観察する局所的な視線動
作をし,一方でネガティブな印象評価をする視線動作は,短時間で広範囲を観察する大局的な視線動作をする可能
性が示された.